岡山大学 ダイバーシティ推進本部

リーダー育成プログラムLeader Development Program

女性教員からのメッセージ

毛利 貴美Takami MOHRI

グローバル人材育成院 准教授

研究テーマ

複言語・複文化主義を取り入れた日本語教育実践/日本語の講義理解能力についての研究/アクティブラーニング/
内容重視の教育(Content-based Instruction)/生成AIの研究など

先生ご自身の研究について教えてください

 私の研究テーマの一つに複言語・複文化主義があります。例えば、皆さんのクラスに海外から新しいクラスメイトが転校してきて、日本語がまだ十分に話せないことがわかったら、どう考えるでしょうか。一般的には「日本語が話せないこと」に焦点が当たりがちですが、欧州評議会が提唱する複言語・複文化主義では「複数の言語や文化を知っている人」として肯定的に評価されるため、人は自己肯定感を持って成長できます。現在、この理念を取り入れた教育実践の方法についてドイツのテュービンゲン大学の先生と共同で研究を行っています。

今後の目標を教えてください

 日本で暮らす外国人は約300万人を超え、今後ますます多文化共生社会について考えていかなければいけない状況にあります。海外出身者との間で起こった問題に「文化が違うから(分かり合えない)」「日本語が話せないから(コミュニケーションできない)」と諦めたり、話し合いを回避することは持続的な社会の発展にはつながりません。私の今後の目標としては、言語や文化を超えて問題の解決ができる「仲介者」としてのグローバル人材の育成に力を入れていきたいと考えています。

学生さんへのMessage

 私の大学時代の専門は人間学でしたが、日本語教育の副専攻コースを履修したことがきっかけで、日本語教師の道に入りました。日本語学校で教育経験を重ねる中で「日本語が早く上達する人の特徴は何だろう」という問いが芽生え、当時「外国人力士はなぜ日本語がうまいのか」という研究を行っていた先生に指導を受けるため大学院に入りました。大学院では、実際に相撲部屋や夜間中学に行って話を聞いたりして、言語能力の上達には学習環境が大きく関係していることを知り、自分の研究にもこれらの知見を生かすことができました。

 研究は山登りに似ていて、コツコツと長時間かけて地道な調査や分析をしていく必要があります。しかし、これまでの研究になかった、思いがけない結果が現れたときの喜びは、まるで頂上で視界が広がり、霧が晴れたようで、その達成感と爽快感は、何物にも代えがたいものがあります。そして、自分の研究に賛同してくれ、一緒に取り組んでくれる仲間がいれば、研究の可能性はもっと広がります。また、研究には基本的に「先行研究」があり、私たち研究者は、先人が切り開いた道(研究)を継承して、更に開拓して進め、そして、次の世代が同様に受け取り続けていくという点で、長い長い研究の歴史の一部になれるという喜びもあります。

 今、この文章を読んでくれている学生さんが、将来何か探究したい、問題を解決したいと思うことがあったなら、「研究」も選択肢の一つとして考えていただけたらと思います。

冨田 朝美Asami TOMITA

学術研究院環境生命自然科学学域(農)  助教

研究テーマ

イネの栄養障害に関する作物学、育種学的研究

先生ご自身の研究について教えてください

 熱帯地域の農業の場には、様々な土壌不良、ストレス環境が存在します。イネは灌漑水田や天水田での栽培が多く、このような体系では強還元による鉄毒等の土壌問題が作物の生育阻害や収量減を引き起こすことがあります。
 これらの問題を解決するため、イネ葉身の褐変症状や根の形態、通気程度に着目し、主に水田やハウスでの栽培試験を利用して、それらの遺伝的メカニズム、生理的特性、適応性、生産性への影響の解明に取り組んでいます。

今後の目標を教えてください

 得られた成果を、熱帯地域での実際の農業に活用できる育種素材や栽培様式、手法として確立してゆきたいです。
世界の食糧問題の解決に貢献することが研究活動のゴールと考えています。

学生さんへのMessage

 研究活動を通して出会った人やもの、出来事が、次の研究の糧になると日々感じています。
学生のみなさんは、外国を含め、現在の居場所とは異なる環境に身を置く事に、積極的にチャレンジすると良いと思います。
 新たな環境では数多くの困難や失敗にもあたりますが、将来の成長に必要なものととらえ、乗り越えていってほしいです。